Mild High Clubの甘いメロディを聴こう

僕が去年からハマってるMild High Clubの音楽について何曲か話したいと思います。

Mild High Clubはロサンゼルス在住のミュージシャンAlexander Brettinの率いるサイケデリックポップグループです。複雑な和音や転調、甘いメロディが好きな人はきっと好きになるでしょう!日本ではまだあまり知られていないような気がしますが、ぜひ聴いてみてほしいです。

 

この記事で紹介するのは以下の4曲です。どんな人にどの曲がおすすめかというと...

キリンジなどのJ-POPが好きな人 → (1) Dionysian State がおすすめ

・うっとりする転調を聴いてみたい人 → (2) Homage がおすすめ

・甘くて美しいメロディが好きな人 → (3) Kokopelli (4) Waving がおすすめ(個人的にはこの2曲が特にお気に入り!)

といった感じです。それでは曲の紹介をしていきましょう!!!

 

(1) Dionysian State (Going Going Gone)

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Mild High Clubを知らない人にはまずこれを聴いてほしいという一曲。キリンジなど日本のアーティストを普段から聴いている人にとって馴染みやすい曲なのではないかと思うからです。僕も最初この曲を聴いて、Mild High Clubの沼にはまっていきました。

Mild High Clubでは珍しいノリのいい曲です。動画の0:10あたりのGbM7→D9の動きでずっしりとした重みを感じるところが好きです。0:52からの捉えどころのないメロディと淡々と等間隔に刻まれ続けるリズムも心地よいです。こんなメロディどうやったら思いつくんでしょう?

この曲が気に入ったという方には、同じアルバムに収録されている「Me Myself and Dollar Hell」もおすすめです。

 

(2) Homage (Skiptracing)

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イントロが印象的な曲。このけだるげな空気感こそがMild High Clubのサウンドの最大の特徴でしょう。おそらくMild High Clubでもっとも有名な曲で、インスタで検索すると素敵なベースのカバーを投稿してる人がたくさん出てきます。

この曲で私が一番好きなのはサビ前にFメジャーからDbメジャーに転調するところです(0:53~)。グルグルと捩れるような曲の展開にうっとりしてしまいます。

ところで、このように長3度下がるタイプの転調は珍しいです。ここは細かく見ると一時的に同主調Fマイナーに移り、さらにその下属調平行調にあたるDbメジャーに移るという構成をしています。サビ前の1小節はGbM7→Ab7→Iという451進行にしてもよいのに、Ab7ではなくAを使うのが憎い。SD→SDm(の代理)→Tという進行です。

それから、この曲はベースはめちゃくちゃかっこいいです。先ほど述べたサビ前の転調部分の動きも良いし、0:30あたりのディミニッシュコードに沿って一気に駆け上がっていくところも気持ちいいです。

このように転調のある曲をもっと聞いてみたいという方には、『Timeline』に収録されている「Windowpane」もおすすめです。Windowpaneはいろいろな調に次々と移っていく美しい曲です。ぜひ聴いてみてください!

 

(3) Kokopelli (Skiptracing)

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とにかくメロディが美しい。個人的にMild High Clubの曲の中でおそらく一番好きな曲です。0:00~0:25をブロックA、0:25~0:45をブロックBと呼ぶことにしましょう。

ブロックAは低い音から高い音に登っていく2小節のフレーズを4回繰り返すという構成ですが、ここのメロが本当に天才すぎます。それぞれ、DbM7、Bbm7、Bbm9、Fm9というコードの構成音を軸にしてメロディが動くのですが、コードに含まれない音が絶妙に使われて、半音の移動が出てくるのがめちゃくちゃ好みです。

Bブロックは2人で会話しているかのようなメロディになっています。僕はこういう会話形式のメロディがほんとに好きなんです...()。やまだかつてないWinkの「さよならだけどさよならじゃない」(KANさん作曲)のサビ、Re:ステージ!の「*Heart Confusion*」(田中秀和さん作曲)のサビなどもこの系統だと思います。こういうメロディは、会話を通して2人が歩みよっていくタイプや、2人が別々の立場を貫くタイプなど、いろいろなストーリーがあって面白いなあと思います。会話形式のメロディが美しい曲についてもいつか記事でまとめて書きたいなあ。

曲の終盤の1:57~でもBブロックのメロディが出てくるのですが、ここでストリングスがレbからソbまで半音階でじわじわと登っていくのを聴くと心が締め付けられるような感情になります。

この曲はドラムのキックのリズムもかっこいいですね。3拍目ですこし前のめりになるの好きです。

 

(4) Waving (Going Going Gone)

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最新のアルバム『Going Going Gone』で一番お気に入りの曲です。場面が次から次へと連続的に変わっていくような曲で、タイトルのとおり波に揺られながらどこかへと運ばれていくような感覚になります。音程がきちっと定まらないような箇所も多く、また裏でなっているシンセサイザーの音が大きくなったり小さくなったり、とらえどころのない印象を受ける曲です。また、コード進行もMild High Clubの曲の中でもめちゃくちゃ複雑な方だと思います。

そんな少し怖いような雰囲気の複雑な曲なんですが、0:23~と1:55~では突然耳になじみやすい甘いメロディが出てきます。このメロディを聴くと安心するとともに幸せな気持ちでいっぱいになります。このように曲の中で突然美メロが出てきてびっくりするような曲は他のアーティストの曲でもありますが、この曲では最高級の「裏切り」を味わうことができるのではないでしょうか。

あとは細かい好きポイントをいくつか列挙します。0:48~のドラムがめっちゃ気持ちいいです。1番と2番では上述の「最強の美メロ」までの流れは違うのに、結局ここに行きつくという構成が好き。2:14~はビーチボーイズの「God only knows」を意識しているのでしょうか?

このような美メロが突然出てくる曲が好きな方は、『Skiptracing』に収録されている「Tesselation」も聴いてみてほしいです。